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バスク語読解の記録を不定期に更新

Egungo turismo ereduaren aurka manifestazioak egin dituzte, Ernaik deituta / 観光モデルへの抗議

こんばんは。

 

先日バルセロナでテロがありましたね。

残念ながらテロに限らず、スペインではけっこう観光客をよく思わない人たちも多いみたいです。

 

一大観光地でもあるバスクもその例外ではなく。。

僕が行ったときは何ともなかったんですけどね。

 

今回の記事はそういった観光業を巡る問題を紹介しています。

 

 

 

 

Artikulua eta Itzulpena / 記事・訳

 

記事はこちらのリンクです。

↓ ↓ ↓

www.berria.eus

 

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バスクのメジャーな観光地の1つ、サン・セバスティアンでデモがあったようです。

どんなデモだったかというと… 

訳はこちらのリンクから

観光モデルへの抗議

 

「あなたたちの旅行、私たちの苦悩」とか「奪われた公共スペース」とか

なかなか破壊力がありますね。

旅行しているときに見かけなくてよかったです。笑

 

 

Analisia eta Azalpena / 分析・解説

今回は連続している二つの文を紹介します。

 

まずこちらの文。

この文はシンプルで分かりやすいのですが、後に続く二つ目に紹介する文を読む上で必要なので解説します。

 

Jose Maria Gorroño Gernikako alkateak kritiko hitz egin du, gaur, mobilizazio horien inguruan.

 

Jose Maria Gorroño は人名ですね。どんな人物かというと、その後ろに書いてあります。

Gernika-ko 「ゲルニカの(所有属格)」 alkate-ak 「市長が(能格)」

ゲルニカ市の市長だそうです。

 

その市長が、

kritiko「批判的な」 hitz egin 「話をした」 gaur「今日」

何かを批判したそうです。

 

何を批判したかというと…

mobilizazio「動員」 horien「その」 inguruan「~について」

その動員について

 

動員というのはErnai「エルナイ」というバスク愛国主義左翼急進派の若者によるグループの動員のことです。 

このErnaiというグループ、けっこうニュースに登場します。

 

この文の訳は

ゲルニカ市長 Jose Maria Gorroño はErnaiの動員について批判的に話した。」

 となります。

 

 

2つ目の文にいきます。

 

Gernikak "pertsonaren eta naturaren arteko bizikidetza harmonikoan" oinarritutako turismo plan bat baduela gogorarazi du, eta herriak, batez ere, "turismo kulturala" hartzen duela seinalatu.

 

この文は長いので、まず構造をつかむところから。

動詞を探すと、真ん中よりやや後半に

gogorarazi du 

があります。これが動詞です。

意味は「思い起こさせる、思い出させる」

 

そして du は、主語が3人称単数(能格目的語が3人称単数(絶対格ということを示す助動詞です。

 

ということで3人称単数の主語(能格)と3人称単数の目的語(絶対格)を探します。

 

今回は文頭に Gernika-k という名詞があります。

能格がありますし、一見これが主語に見えます。

 

しかし、gogorarazi の直前に baduela という単語があります。

 

この baduela は du に ba- という接頭辞と -la という接尾辞がくっついたものです。

du というのはいつもは助動詞なのですが、単体で使われると「~を持っている」という意味の動詞になります。ここではこの用法です。

 

ではその ba- と -la がどういう働きをするのかというと、

まず ba- はここでは「持っている」という動詞を強調する意味で使われています。

そして -la は動詞や助動詞に付いて、「~ということ」という関係節を作ります

 

つまり動詞 gogorarazi の直前に関係節があるということです。

このことから、この関係節が gogorarazi の目的語だと推測できます。

 

ではその関係節の中を見てみると、du「持っている」が動詞ですから、この関係節の中でも主語が3人称単数(能格)、目的語が3人称単数(絶対格)ということが分かります。

 

すると baduela の直前に、turismo plan bat という名詞句があります。

bat は定冠詞のような役目を持つ限定詞*1で、しかも絶対格です。

つまりこの turismo plan bat 「観光計画」が関係節の中の目的語の中心です。

 

そしてさらにその前の

"pertsonaren eta naturaren arteko bizikidetza harmonikoan" oinarritutako 

が「観光計画」を修飾しています。

oinarritu は「~に基づく」という意味の動詞ですが、ここでは -tako によって分詞のような働きをしています。

 

したがって、

「"人と自然の間の調和のとれた共存" に基づいた観光計画」

が関係節の中の目的語になります。

 

では、何が観光計画を持っているのかというと、文頭の Gernika-kゲルニカ市が」となります。

 

したがって関係節は

ゲルニカには"人と自然の間の調和のとれた共存"に基づいた観光計画があるのだということ」

となります。(ゲルニカは…を持っている を ゲルニカには…がある と訳しています。)

 

さて、では観光計画があることを思い出させたのは何かというと、前の文の、「市長の批判的な話」でしょうね。主語が省略されているわけです。

 

この文の前半(カンマまで)の意味は、

「(市長の話は)ゲルニカには "人と自然の間の調和のとれた共存" に基づいた観光計画があるということを思い出させた。」

となります。

 

カンマ以降は単純な構造なので、簡単に。

herri-ak 「街が」

turismo kultutala 「文化観光を」

hartzen duela 「採用していることを」 ここでも -la で関係節を作っていますね!

seinalatu 「指摘した」

 

後半の意味は

「さらに(市長の話は)街は特に「文化観光」を採用していることを示した

」 

となります。

 

だいぶ長々した解説になってしまいましたが、

文全体の意味は

「(市長の話は)ゲルニカには「人と自然の間の調和のとれた共存」に基づいた観光計画があるのだということを思い出させ、さらに街は特に「文化観光」を採用していることを示した。」

となります。

 

構造を図示するとこんな感じです。

 

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この文は動詞を発見した後、 -la による関係節を見つけられるかどうかがカギになりますね。

 

今回は以上になります。

こんな記事を紹介しましたが、普通にしてればバスクは全然怖いところではないので、機会があればぜひ足を運んでみてください。

デモには近づかないほうがいいとは思いますが。笑

 

Hitzak / 単語リスト

 

今回出てきた主な単語です。参考にしてください。

joan den aste は直訳すると「行ってしまった週」となるので「先週」ってことですね。

 

単語 意味
agertu 現れる
alkate 市長
alokairu 家賃、給料
antze 能力、性能
aritze 訓練、仕事
arte 間、中間
atzeman 捕まえる
aurka against
azpimarratu 下線を引く、強調する
basati 野生の
bisitari 訪問者
bizikidetza 同居、共存
deitu 呼ぶ、電話する、名づける
desterratu 追放する、追い払う
EH Euskal Herria
ekain 6月
eledun 報道官、機関紙
engranaje 歯車
eragin 促す、~させる、生み出す
eredu 型、モデル、例
eremu 土地
ertzain 警察
ertzetara 淵、境界
esaldi 文句、フレーズ
esklabo 奴隷
espazio 場所、スペース
eztabaida 主張、議論
gazte 若い
gazte 若者
geldialdi 中止、静止
gogorarazi 思い出させる
hain zuzen ere まさに、正確に
hainbat 多くの
halaber 同様に
handiagotu 増やす、大きくなる
handitu 増やす
harmoniko 調和のとれた
harro 誇っている
hedabide メディア、報道
herritar 市民
hiriburu 首都
identifikatu 身元を確認する
igo 上がる、増える
inguru 環境
iragarri 伝える、知らせる、予測する、広告する
izendatu 名づける
izugarri 恐ろしい、恐ろしく、とても
joan den aste 先週
kaltea 損害、損失
kanpo 外に
kexu 不満
kopuru
kritiko 決定的な、危機的な
langile 従業員
lapurtu 奪う、盗む
lege 法律
lehertu 爆発する、爆破する
lelo 決まり文句、繰り返し文句
lelopean ~のもとで
luze 長い
manifestari デモ参加者
manifestazio デモ運動
martxa 行進
masibo 大量の
mazifikazio 大衆化、普及
miseria 苦悩
mobilizazio 動員
narturar 自然
oihartzun 反響
oihukatu 叫ぶ
oinarritu ~に基づく
pankarta 横断幕
pintaketa 政治的ないたずら書き
prekaritate 貧しい、不安定な
prekarizazio 不安定さ
salatu 訴える、暴く
salgai 商品
saturatu 飽和した
seinalatu 示す
ugari たくさんの、豊富な
zerbitzu サービス

*1:バスク語では限定詞や形容詞は名詞の後ろから掛かることが多く、格もその後ろの語句に付くことが多いです。