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バスク語読解の記録を不定期に更新

Michelin eta Sidenor hilaren 14an itzuliko dira lanera / バスクの経済回復のために

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なんて文字が躍り、すっかり閑古鳥が鳴いてしまいました。

2年ぶりに更新します。。

 

2年間で興味を失ったわけでは決してなく、、

バスク語の小説を読んだり、バスチー作ってみたり、去年は2年ぶりにバスクを訪れて放浪したりしてました。

そのとき撮った写真は別に紹介しようかなと思います。

 週末暇ですし。

 

 

 

というわけで真面目な記事翻訳の投稿です。

最近の話題といえばやはりCovid-19、コロナウイルスですね。

2か月くらい前から、スペインでは特にマドリッドバスク地方で感染者が急増し、結果的にスペイン全土に広がってしまいました。

好転の兆しが見えるなんてニュースもありますが、まだまだどうなるか分かりませんね。

 

スペインでは各地で都市封鎖が行われていて、プラントや工場も軒並みストップしていたようです。ただ工場が止まるとインフラが回らなくなり、国民の生活そのものが脅かされないですよね。

今回はバスクにある工場がそろそろ再稼働するかも?という記事です。

 

 

Artikulua eta Itzulpena / 記事・訳

記事はこちら。

↓ ↓ ↓

www.berria.eus

 

ミシュランフォルクスワーゲンは言わずもがな、超有名ですね。

f:id:Na_EUS:20200411010717j:plain

Sidenorという会社は僕も初めて聞いたので調べたのですが、鉄鋼の加工を行う会社のようです。

 

訳はこちらのリンクから

経済活動の再開

 

Analisia eta Azalpena / 分析・解説

 更新が滞った贖罪?に多めに紹介したいと思います。

 

Espainiako Gobernuak ez du asmorik funtsezkoak ez diren jardueren etenaldia luzatzeko.

まずはこの連体修飾節を伴ったシンプルな複文。

シンプルなので、できるだけ丁寧に説明します。久しぶりですし。

 

核になるのは、

Espainiako Gobernuak ez du asmorik 

です。ここだけで文として成立しています。

 

Espainiako Gobernu「スペイン政府」、ez ”not”、du「持つ」、asmo「意図」

単語を拾うだけで読めそう!

 

少しトリッキーなのは、目的語(asmo-rik)に分格と呼ばれる格が出てくること。

分格は否定文や疑問文で絶対格(ゼロ格)の代わりに使われることがあります。 

またこの文は他動詞文なので、主語のEspainiako Gobernu に -ak という能格がついています。 

ここでリマインド!バスク語能格言語に分類される言語で、他動詞の主語には特別な格(能格)が現れます。自動詞の場合は、主語には(能格ではなく)他動詞の目的語と同じ絶対格が用いられます。

 

du は他動詞文を示す助動詞として見かけることが多いのですが、ここでは所有を表す「持つ」という動詞として用いられています。 

活用は助動詞の時と変わりません。ここでは他動詞文(主語-能格直接目的語-絶対格が現れる)であること、主語と目的語がどちらも3人称単数であることを示しています。

 

直訳すると

「スペイン政府は意図を持っていない」

となり、どんな意図かの説明が後ろに続きます。

 

後ろのパートで着目するのは diren です。これは dira という助動詞に、連体修飾節マーカーの -en が合体したものになります。

つまり、funtzeskoak ez dira 「それらは重要ではない」が jarduera「活動」を修飾して「重要ではない活動」になるわけです。

 

ちなみに dira は「自動詞文(=目的語が現れない)且つ、主語-絶対格3人称複数である」ことを示す助動詞です。

この dira という助動詞は、ここでは「AはBだ」というコピュラの働き(A=Bを示す)をしています。英語のbe動詞と同じです。

"A" にあたる主語「それら」は省略されていて、"B" にあたるのが funtsezkoak「重要な」という形容詞です。

"B" は "A" に一致させて格変化させる必要があるため、絶対格(funtsezko-akが用いられています。

英語では They are important"s" とはならない("A" と "B" の形態素:数が一致しない)ので注意が必要です。

Espainiako Gobernu-ak は能格、funtsezko-ak は絶対格なのに語尾が同じじゃん!と気づいた方はだんだんバスク語沼にハマっている最中です。

能格言語であるバスク語は、自動詞の主語と他動詞の目的語が同じ絶対格で表され、他動詞の主語は能格で表されるのですが、単数形の能格と複数形の絶対格の「形」が同じなのです。ややこしい!!

 

jarduera には属格がくっついていて(jardue-ren)後ろの etenaldi-a 「中断」にかかり、さらにluzatzeko は luzatu「遅らせる、先送りにする」の動名詞になっています。

したがって後半は、

「重要ではない活動の中断を先送りにするという」

となります。

全体を直訳すると

「スペイン政府は重要ではない活動の中断を先送りにする意図を持っていない」

となります。

休業要請の先送りで揉めてるどっかの国とは違いますね…

 

Egun bat lehenago hasiko dira lanean Valladoliden eta Aranda de Dueron (Espainia), astelehena ez baita jai Gaztela eta Leonen.

次はこちら。

この文章も構造はとてもシンプルです。

 

Egun bat lehenago「その前の日に」という感じです。bat は定冠詞のようなものだと思ってください。

 

hasiko dira lanean がこの文の中心で、hasiko は hasi 「始まる」の未来形です。

lanean は lan「仕事」に内格という格がついたものです。この内格は通常は場所時間を表す格(「~において」)ですが、状態活動を表すという用法もけっこう頻繁に出てきます。

lan「仕事」+内格=lanean 「働くこと、仕事中」

lo「睡眠」+内格=lotan「睡眠中」

 ここでは hasiko dira lanean で "start working" くらいのニュアンスでOKだと思います。

 

あ、その後の Valladolid-en と Aranda de Duero-n に場所を表す内格が出てきていましたね。

 

もう一つこの文章で押さえておきたいのは、baita です。

この baita は実は助動詞 dabait- という接頭辞がくっついたもので、節全体を受けて「~なので」という因果関係を表します。

したがって後半の訳は

カスティーリャ・レオン州では月曜日(astelehen)が祝日(jai)ではないので」

 となります。

全体では

カスティーリャ・レオン州では月曜日が祝日ではないのでValladlidとAranda de Dueroではその前の日に働き始める(工場が再開する)予定だ」

となります。

今度の日曜日がイースターなのでヨーロッパではその次の日も祝日の地域が多いんですが、スペインでは地域によってバラバラなんですねー。

 

«Osasun agintariek zehazten dutena baino gehiago» egiteko prest azaldu du.

Osasun agintariek「保健医療機関」zehastu「指定する」 baino gehiago「~以上」egiteko prest「する準備ができて」 azaldu「説明する」

単語の意味だけ羅列しましたが、ここで説明したいことは dutena です。

dutena は分解すると dute-n-a となります。

dute-n は一番最初に紹介した文章の diren と同様に、助動詞 dute に連体修飾節マーカーの -en がくっついたもの。

ここではさらにそうしてできた連体修飾節に直に -a という格語尾(絶対格)が付く用法をとっています。

 

分かりにくいですね!

つまり、連体修飾節によって修飾されるべき名詞(被修飾名詞)が省略され、名詞についていた格だけ残ったイメージです。

 

この前の文章で「ミシュランは必要な対策をすべて講じる!」とあるため、ここで省略されている単語は neurri 「対策」だと想定できます。

Osasun agintariek zehazten duten neurria baino gehiago

「保健医療機関が指定した以上のこと(対策)」

 

ちなみに dute は、主語と直接目的語をとる他動詞を示す助動詞で、主語が3人称複数能格:ここでは Osasun agintari-ek )・目的語が3人称単数絶対格:ここでは neurri-a)であることを示しています。

 

«Ahalik eta lasterren jarriko da zuzendaritza harremanetan sindikatuetako ordezkariekin, berreskuratzea nola egin behar den zehazteko».

 ここは構文というより語彙が難しかったので備忘録もかねて。

ahalik eta... は定型句で「できるだけ~」という意味。直後に laster「早く」という副詞があるので、「できるだけ早く」となります。

またここには harremanetan jarri -ekin という語彙が隠れています。

これも決まり文句で「~と連絡を取る」です。それぞれの単語を辞書で引いてもなかなか結びつかないのでなかなか癖の強い語彙ですね。jarri とか調べても「~にする」「置く」って意味しか出てこないし。-ekin共格という格で英語の with とほぼ同じです。

 

余談ですがバスク語では「(人に)話す」「(人と)連絡を取る」というときに方格よりも共格を用いる傾向があるみたいです。英語なら "speak to somebody" とか普通に使いますけどね。

 

また zuzendaritza はzuzendari 「取締役」に -tza という接辞がくっついたものです。

この -tza は名詞にくっついて、職業や行動、集合体を表す名詞を形成します。

したがってここでは集合体と考えて「取締役会」とか「経営陣」という訳がいいかなと思います。

例:arrain「魚」→ arrantza「釣り」、lagun「仲間」→ laguntza「支援」

 

nola は「どのように」、behar「すべき」という意味。den は da+ -en で連来修飾節を示す助動詞。zehazteko は zehaztu「決定する」の動名詞

 

この辺まで分かってくると文全体も単語を拾えば読めます。

「どうすべきかを決定するために、経営陣は可能な限り速やかに組合の代表と連絡を取るだろう。」 

 

Enpresak esan du langileen osasuna duela lehentasuna, eta lanean ari dela langileek babesteko jantzi eta tresna guztiak izan ditzaten.

ちょっと長いですね。

カンマの前はシンプルで、 du-ela で「~ということ」という名詞節を形成していることが分かれば簡単です。

「会社が従業員の健康が最優先であるということを述べた」

 

後半、というか一番最後になにやら助動詞らしきもの ditzaten が出てきます。

 

…これ実は接続法を示す助動詞です。

 

他の記事で紹介したかどうか定かではないですが、バスク語の助動詞は、文中の主語、目的語の人称、数に一致して変化し、さらに時制だけではなく法(条件法、仮定法、接続法、命令法)によって異なるんですよね。。おそろしや。

 

この助動詞も、助動詞だけで主語と目的語の人称&数が分かるようになっています

 

ditzaten は「主語(能格)三人称複数、直接目的語(絶対格)三人称複数」を表しています。

具体的には、langile-ek 「従業員」が主語、guzti-ak「全員」が直接目的語です。

直訳すると「従業員が防護服と防護具を全て持つ」となりますが、まあ「全ての従業員が~」でいいですね。

 

肝心の接続法の用法ですが、、

スペイン語の接続法ですら満足に理解できていない僕が、具体的な用法についてどうこう言えるわけありません。 

↓↓この本持ってるんですけど、ほぼ開いたことないです。もはや陳列物。

www.amazon.co.jp

 

とは言っても放棄してしまうと訳せないので…

ここでは英語の so that 構文と同じ働きをしているという理解で十分だと思います。

in order to でもいいです。

「全ての従業員が防護服と防護具を持つように準備している」

目的を表す、って感じです。

 

 

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最後とても適当になりました。

こんなところですかね。

久しぶりだったので長くなってしまいました。ほぼ自己満足です。

 

Hitzak / 単語リスト

 単語も記事を読むたびにローカルで貯めていたら収集つかなくなってきました。単語集でも出そうか。

 

単語
agintari 当局、統治者、リーダー
agiri 文書、声明
aldi 時間、期間、回数
amaiera 終了、終息
anbulantzia 救急車
asmo 意図、目的
aste
astearte 火曜日
astelehena 月曜日
autogintza 自動車産業
azaldu 説明する、伝える、現れる
azken 最後に、終わり
azpikontratazio 外部委託、アウトソーシング
babestu 保護する、支援する
baimen 許可、同意、休暇
baita ~もまた
bakar 唯一の
baterako 一つになった、共同の、隣接した
beharrezko 必要な
bermatu もたれる、信頼する、保証する
berreskuratu 取り戻す、回復する
berriro もう一度
bitarte 間隔、-en bitartez : ~によって、~を通して
datorren 次の
denbora 時間、期間
derrigorrezko 義務の、必要な
ekin 始める
ekoizpen 生産
epe 日程、期間、期限
erabili 利用する、着る
erdialdetik 中心、真ん中
erregulazio 規則
eten 切断する、中断する
etenaldi 休止、中断
euskerria 支援、サポート、必要なもの
ezin 不可能
fabrika 工場
funtsezko 基礎的な、重要な
gaineratu 起こる、降りかかる
gazte 若い
gehiago より多くの、より~
geratu 止める、留まる
goiz
gora 上に、上の、高い
haientzat (haiekの受益格)
harreman 仕事、業務、関係、関係性
hornitzaile 供給者
hurrengo 次の
iragarri 知らせる、予報する、広告する
itxi 閉じる、鍵をかける
itzuli 戻る、振り返る、返す
jada すでに
jai 休日、記念日、祭り
jakinarazi 伝える、発表する、忠告する
jantzi 衣服
jarduera 職業、仕事、業種、活動
jarri 置く、横たえる、~にする
kamioi トラック、タンクローリー
kasu 事例、状況、例
langile 従業員
lantegi ワークショップ、工場
laster まもなく、すぐに、素早い、早い
lehenago の前に
lehenengoetariko ~の中で最初の
lehentasun 優先度
luzatu 伸ばす、成長する、延期する
mantentze メンテナンス
martxa 速度、経過
martxan jarri セットアップする、スタートアップする
mugimendu 動き、運動
nabarmendu 示す、強調する
neurri 大きさ、広さ、単位、対策
oinarrizko 基本的な、重要な、必須の
ondoren ~の後、それから
opor 休日
ordaindu 払戻す、返金する
ordezkari 代表
ordu 1時間、時間
osasun 健康、保健
oso 全体の、正直な、とても
ostean 大量、大人数 / 後ろ
pneumatiko タイヤ
praktiko 便利な、手際のよい
prest 準備ができて
produkzio 生産
santuaren 聖人、聖なる
segurtasun 確実、安全
sektore 部門
sindikatu 組合
suhiltzaile 消防士
traktore ラクター
tresna 道具
zabaldu 延長する、解除する、開く
zehar ~を通して
zehaztu 指定する、詳しく述べる、決定する
ziurtatu 確かめる、保証する、登録する
zuzendari 取締役