Funtsezkoa ikusezina da begientzat / かんじんなことは、目に見えないんだよ
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」
サン=テグジュペリ作 『星の王子さま』の有名な一節ですね(内藤濯さんの訳)。
どこかで聞いたことのある人も多いと思いますが。
個人的にも思い入れのあるフレーズです。
Wikipediaによると
初版以来、200以上の国と地域の言葉に翻訳されているそうで、当然のことながら(?)バスク語にも翻訳されています。
タイトルは
Printze txikia
printze 「王子さま」
txiki 「小さな」
直訳すると「小さな王子さま」となりますね。
txikia の -a は絶対格です。
今回は冒頭のフレーズがバスク語でどのように表現されているか紹介します。
Bihotzarekin baino ez da ongi ikusten. Funtsezkoa ikusezina da begientzat.
単語の意味は以下の通りです。
bihotz: 心 ongi: 良く ikusi: 見る
funtsezko: 不可欠、重要 ikusezin: 目に見えない begi: 目
まず前半の文
bihotzarekin は、bihotz に -arekin という格(共格)が付いたものになります。
共格というのは、英語の with にあたるもので、「~とともに」「~でもって」という意味になります。
つまり bihotzarekin は「心でもって」となります。
baino ez は「ただ~だけ」といった英語のonlyのような意味で、
baino ez da ongi +動詞 で
「~するだけでよい」となります。
したがって、「心で見るだけでよい」となりますね。
次に後半のこちらの文
Funtsezkoa ikusezina da begientzat.
begi「目」についている、-entzat というのは受益格と呼ばれる格で、「~にとって」という意味になります。
受益格は補語の役目なので文自体は、
Funtsezkoa ikusezina da.
だけでも成立します。
構造的にはSCVとなり、
「大事なものは目に見えない」
となります。
そこにあえて begientzat 「目には」をつけたして表現することによって、
「目で見なくても心で見ればいいんだよ」というニュアンスをより強調しているのだと思います。
内藤濯さんの訳はとても素敵な翻訳なので、もう一度。
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」
有名なフレーズが他の言語ではどのように表現されているのか知るのも面白いですよね。
たまにはこういう記事もいいかな。
それでは~